【インタビュー】クラシック音楽×国際協力 / 橋本莉紗
2022.05.20
Interviewee
橋本莉紗 Hashimoto Risa
5歳からヴァイオリンを習い始め、中高ではオーケストラ部に所属。高校時代には、トビタテ!留学JAPANでカンボジアにヴァイオリンと共にボランティア留学、NPO法人ワールドシップオーケストラに参加し、フィリピンやカンボジアの子どもたちの前で演奏。音楽を通した海外経験からの気づきや学びを書いたエッセイはJICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテストで文部科学大臣賞を受賞。現在は早稲田大学にて国際開発を中心に学びながら、大好きなオーケストラを続けている。
バイオリンやオーケストラはいつから始めたの?
幼稚園年長の時にバイオリンを始めました。当時のことはよく覚えていないけど、いとこがバイオリンを弾いていて、「私もやりたい」と言い始めたことをきっかけに習い始めました。中1の時に学校のオーケストラ部に入り、中高約6年間続けました。
「音楽×国際協力」に興味があるとききましたが、国際協力は何をきっかけに興味を持ち始めたの?
中学生の時に元国連職員の大崎麻子さんの講演で途上国の現状について知ったり、テレビでカンボジアの実情について特集している番組を観て興味を持ち始めました。自分もそれについての勉強を将来していきたいなって思ったのがきっかけです。
一見かけ離れている音楽と国際協力がマッチした瞬間はどんな時?
中学3年の時に、文部科学省が展開する官民協働の留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」という制度を知り、チャレンジしたいなと思ったのが始まりです。留学計画書を提出するにあたって、まずはテーマを決めなくてはいけない。そこで自分は何ができるかと考えた時に、やっぱりバイオリンとか音楽かなって思って。ちょうど国際協力に興味を持ちはじめた頃だったので、その2つを組み合わせたら興味深い活動ができるのではないかな、と思い書類を提出しました。無事に選考を通過して、高校1年の夏休みに国際ボランティアコースで2週間カンボジアに留学しました。
カンボジアには実際にバイオリンを持っていったの?
音楽に触れられない子どもたちがカンボジアにいるっていうことを知ってたので、少しでも楽器に触れてほしいなっていう思いから、小学生ぐらいの時に使ってた小さいバイオリンを持ってカンボジアに行きました。
実際に弾いてみて、カンボジアの子どもたちのリアクションってどんな感じだった?
正直、私が行ったボランティアのプログラムではたっぷり自由な時間を使うことは出来なかったから、授業と授業の間の休み時間15分だけだったらいいよって許可をいただいて、外でみんなが遊んでる中で1人で弾いてました。最初はみんな警戒心じゃないけど「なんだろう?」みたいな感じで。だんだん「なんか音がする」みたいな感じで興味持ってくれてみんな近づいてきてくれました。カンボジアの子どもたちって基本シャイだから「楽器を弾いてみる?」って言っても、ちょっと「えっ…いいよ」みたいな、若干遠慮がちな感じだったんだけど、みんな徐々に興味を持ち始めて、楽器をちょっと触ってみたいという感じに手を出してきたりとかして。それで弾いてみて音が出た時にすごくびっくりした表情とか素直な表情が見れて嬉しかったなっていうのが、率直な感想です。
カンボジアの子たちは、音楽に触れる機会が少ないの?
そうですね。カンボジアだけじゃないんだけど、基本、東南アジアの国とかは音楽の授業があんまり無い学校が多いらしくて。音楽の授業があっても、バイオリンとかクラシック系の楽器とかには触れずに、民族音楽とかそういう方面にシフトして、西洋音楽に触れる機会があんまり無いっていうのが正しいかな。
その後、私(かこ)とりさちゃんが繋がって、私が参加したワールドシップオーケストラに高校1年の2月りさちゃんも参加し、今度はオーケストラでカンボジアへ。
同じ国だったけど、一人で行った時とオーケストラを演奏した時で違いはあった?
そうだね。やっぱりトビタテの時は、直談判したけど少しの時間しか取れなかったから、正直、自分が思ってたほど音楽に触れてもらう時間って取れなかったんだけど、ワールドシップは元々オーケストラを届けるって理念のもとでやってる活動だったから、私が元々やりたいことにドンピシャで。だからこそすごく楽しみにしていました。私がトビタテ!で行った時と同じような感じの小学校に行って生のオーケストラを届ける機会が何回もあったから、すごく貴重だったし、まさに私はこれをやりたかったんだなっていうのを実感したというか。印象に残ったプロジェクトだったかな。
その後、ワールドシップでフィリピンに行ったと伺いました…
そうそう!カンボジアは、さっきも言ったんだけど基本みんなシャイで。楽器をあんまり自分から触りに来ないっていう控えめな子が多かったんだけど、フィリピンは自分からグイグイ来る感じで。楽器を触りたいって来たりとか、一緒に写真を撮りたい!みたいな。SNSがすごく好きだからフィリピンは特に自撮り!自撮り!みたいな感じで、携帯を突き出してくるみたいな感じだった。ファンがいっぱいいるみたいな。自分たちにサインを求めて来たりして、アイドルになった気分で楽器体験の時間を過ごしていたかな。すごかった!!
そんな高校時代を送ってきたりさちゃん。大学では今、どんなことを学んでいますか?
今は社会科学部で文系のいろんな学問を全部集めたような学部で結構自由に学んでいます。履修の組み合わせとかも、国際協力系の科目はもちろんだけど、最近マーケティングや経済系にも興味を持ち始めて授業を取ってみたり、ジェンダー関連の授業とかいろいろ幅広く取っています。2年生の後期からゼミが始まるから。まだ全然どのゼミに入るとかは決まってないんだけど、できれば国際協力系のアジアとかに焦点を置いたゼミに入りたいなって思ってます。ゆくゆくは卒論のテーマとかも音楽と国際協力を組み合わせた内容で追求していけたらいいなって思ってるかな。
最後に『あなたにとって、音楽とは?』
音楽とは・・・やっぱり、切っても切り離せない存在、かな。5才の時からずっと、気づいたら隣にいるっていう感覚があって。バイオリンを始める前も、叔母さんがピアノの先生をやってたからピアノをちょっと教えてもらっていたり、いとこがきっかけでバイオリンを習い始めたっていうのもあるし。中学からはじめて大学でもオケをやってるし。音楽以外で考えても、国際協力と音楽を組み合わせて、勉強面でも音楽がついてきてるっていうのがあるから。相棒っていうか、自分のアイデンティティのひとつなのかなって思いました。
ありがとうございました!!
Interviewer:Kako